永遠の約束




「ハヤトっ!あぶなぁいっ!!」



ハヤト達は鬼神の谷で、戦いの真っ只中にいた。


「カシス、上の敵を頼む!俺は下をたたくっ!」
「おっけー、ハヤト!」
谷と名のつくくらいだから、上からも敵は襲ってくる。ハヤトは出来るだけ有利な位置を取ろうと、
低い方を狙っていった。
剣を握りしめ、鬼神族の一体へと向かっていく。
「でぇぇぇいっ!!」
振りかぶり、すばやく振り下ろす。相手も防御の体勢を取ったが、強力な一撃に耐えきれず倒れこんだ。
「ツヴァイレライ!」
カシスも上で召喚術を放ち、敵を倒していく。
「ふう…おーい、カシス!大丈夫か?」
近くにいたもう一体も切り伏せ、ハヤトが声をかけた。いくら召喚術が使えるとはいえ、
やはり一人では心配である。
「ぜ〜んぜん平気!こっちにはもういないよ!」
元気な声が返ってきた。どうやら無駄な心配だったようだ。
「アカネ達のほうは見えるか?」
分散して戦っている仲間たちの様子を知ろうと、ハヤトは上方にいるカシスに声をかけた。
「え〜と…だいたい終わってるみたいだよ〜!」
アカネやミモザ達のほうにいた敵もほぼ倒れている。
「よし…!?」
近づいてきた気配に気付き、振り下ろされた刀を剣で受け止めた。
一息ついたはいいが、まだ残っていたようである。
「くっ…!」
さすがに鬼神の力は強く、ハヤトも全力で競り合っている。
「でぇぇぇいっ!!」
気合とともに一閃、相手をはじき飛ばし、そのまま切りつけた。鬼神族もそのまま倒れて動かなくなる。
「ハヤトっ!あぶなぁいっ!!」
そのとき、最初に倒したと思った鬼神族がハヤトのすぐ後ろに立っていた。
刀を振り上げ、傷口から血を流しながらも、ハヤトに斬りつけようとしていた。
ハヤトも振り向き構えようとするが、そんな時間もない。
(間に合わないっ!!)
数瞬後に襲うであろう痛みを予想し、思わず目を瞑る。
鬼神の目がギラリと光る。刀を振り下ろそうとした、その瞬間だった。
「てぇぇぇいっ!!」
――カシスが、地を蹴った。
「ガァァァッッ!!」
「きゃっ!」
「――――!?」
どさっという音が、2つ。
ハヤトの眼に映ったものは、倒れた鬼神族ともうひとつ。
「カシス!?」
「いったたぁ……あ、ハヤト!大丈夫だった!?」
さっきまで上にいたカシスだった。尻餅をついたようで、腰のあたりをさすっている。
「飛び降りたのか!?」
ハヤトの顔が驚きに染まる。カシスのいた位置はハヤトの頭よりずっと上、5メートルほどの高さだ。
「キックもくらわしてやったよっ♪」
いぇい!と笑ってピースサインで答える。
「無茶するなぁ…大丈夫か?」
あたりにもう敵がいないことを確認すると、カシスのほうに歩み寄り、立てるか?と手を差し出す。
「うん、平気……っ!」
カシスも差し出された手を取り、立ち上がろうとしたが、苦痛の表情が浮かぶ。
「どうしたんだ?」
「ん…着地失敗しちゃってさ…ちょっと足、挫いちゃったみたいかな」
無理もない。自分の背の二倍以上の位置から飛び降り、
ましてとび蹴りも食らわせてまともに着地できる方がすごい。
「大丈夫だよ、このくらい」
あはは、とカシスが笑う。
「立てないほど足痛めてるののどこが大丈夫なんだよ」
少しあきれたように言った。
「けど、何であんな無茶したんだ?」
さすがにあの高さから飛び降りたら、よほどの者か慣れている者でない限り無傷でいられることは稀だろう。
「もちろん、ハヤトを助けるために決まってるじゃない」
「だからって無茶しすぎだろ?そりゃ、助けてもらったのは嬉しいけど…」
嬉しいが、そのせいでカシスがケガしては素直に喜べない。うつむいてしまったカシスを見つめていたら、
カシスがぽつりとつぶやいた。
「…ハヤトが…」
「え?」
「…ハヤトが、ケガしちゃうのが…いやだったから」
確かにあの時攻撃を受けていたら、ただでは済まなかっただろう。
「…」
「あたしは、ハヤトにケガして欲しくない。絶対に死んで欲しくない!もしハヤトが大ケガしちゃって、
話ができなくなったら、一緒にいられなくなったら…そんなの絶対にいやだよっ!
そんな悲しい思いはしたくない!ハヤトはあたしの、あたしの大切な人だから…っ!」
そこまで言ったカシスの瞳には、涙が浮かんでいた。
「…わかった」
「ハヤト…」
「俺は絶対にカシスを悲しませるような事はしない。絶対に死なない!
だからカシスも、そんな事には絶対になるなよ?カシスも、その…俺の、大切な人だから…」
最後の部分は少し恥ずかしかったのか、やや小声になっていた。こころなしか顔も赤い。
「ハヤト…っ、うんっ!」
カシスも顔を上げて、心の底からの笑顔で答える。
「…じゃあ、そろそろ戻るか。早く戻らないと心配するかもしれないし…」
「うん、そうだね」
「あ、ケガしてるんだっけ…しょうがないよな…よっと」
「はっ、ハヤト!?」
ハヤトが座り込んでいたカシスを抱き上げたのだ。いわゆる『お姫さま抱っこ』の状態である。
普段の彼からは想像できない行動だったので、さすがにカシスも驚いている。
「あ…や、やっぱり背負ったほうがよかったか?」
自分からこういった行動に出たはずのハヤトも顔を赤くして照れ笑いをしている。
「う、ううん…ちょっとびっくりしただけだよ」
カシスの方もまんざらではなく、むしろ嬉しがっているようだ。
「ふふっ♪」
「な…なんだよ」
「ハヤトもこんな事ができるようになったんだな〜って♪」
「…やっぱ背中におぶされ」
「あーっ、まってまって!」
「…カシス」
「ん?何?ハヤト」
「…ありがとな」
ハヤトの言葉に、カシスが笑顔になる。
「ハヤト」
あいている両手をハヤトの首に回し、
「大好きだよっ!」
その言葉に、ハヤトも笑顔で答える。
「ああ、俺もだ――」
ゆっくりと、仲間たちの待つ場所へと歩いていった…

――ずっと、ずっと――

―― 一緒にいよう――

――絶対に――

――約束、だよ――







その後、『お姫さま抱っこ』などという状態で戻ったものだから仲間達(特にミモザ)に
散々からかわれた事は言うまでもない。






ほとんどの皆様はじめまして。
小説書くの初めてなんでへたれ文章ですが、
どうぞよろしくです。