機械だっけ機界だっけ  



「なぁ、カシス」
「何?」
「あれって何時のことだっけ」
「あれって何よ」
「あれって・・・あれ、ほらあれだよ」
「・・・・・君っていっつも喋る事要領得ないよねぇ」
「あきれないでくれよ・・・。ほら、あの、お前がさ、旅の途中でぶっ倒れたやつだよ」
「・・・・機界遺跡の時の事?」
「それだそれ!」
「それが?」
「いや・・・ただ思い出してただけなんだけど」
「何なのよ、ホントに君は・・・」
「・・ごめん」
「べ、別に良いんだけど」

そうだ、あれはエルゴの守護者を探しに行った時の事だった
あの時の俺はみんなを護るために、誓約者になるために
エルゴの試練を受けてたんだ



「ようやく着いたな・・・ここら辺の筈なんだけど」

レイドが草を掻き分けながら言った
この日、俺達は機界遺跡の情報を手に入れてその近くまで着ていた
でも、正確な情報じゃなかったから、それが何処なのかはしっかりとは解ってなかった
この日来ていたのは俺にカシス、レイド、ガゼル、アカネ、ミモザ、ギブソン、ジンガの
八人だ
さすがに街を留守にする訳には行かないので少数精鋭でさっさと終わらせてこよう、とし
たんだ。というか、この人選はただ行きたいという人を連れてきただけなのだけど

「おい、レイドそろそろ休憩にしね―か?」

ガゼルが疲れた声で言い、近くの切り株に腰を落とした
みんなも疲れてたのでこの意見に沿うことにした
特にあんまり体力派ではないギブソンとミモザ、それに珍しくカシスが疲れていた
いつもならカシスは「休憩なんかいらないよ!」とか言いそうなのに
とか、その程度にしか考えてなかった
やっぱり、この時は他の事で頭がいっぱいだったからかもしれない

「じゃあ、とりあえず遺跡を探さなきゃならない。手分けして探そう」

しばらく休んで、ギブソンが今度はそう提案した
やっぱり意義は出るはずも無く、二人組みの4組に分かれた
組は俺とカシス、レイドとジンガ、ガゼルにアカネ、ギブソンとミモザだ

「遺跡をみつけても、絶対勝手に入らないことだよ。まずみんなにしらせる。わかった?」
「解ってるよ。じゃあ、日暮れまでにここだ」
「へへ・・・今度の守護者はどんなやつかなぁ?」
「ちょっとジンガ君?ホントにわかってんでしょうねぇ?」
「大丈夫だよミモザ。私がついている」
「じゃ、さっさといくよ?ガゼル」

こんな感じでとりあえず俺達は遺跡探しを始めたんだ



「ハヤト、こんなので見つかるの?」
「大丈夫だって、けっこう確かな情報らしいし」
「・・・そうかなぁ」

カシスは何やら心配気だ
俺達は木とかに印を付けながらひたすら北へと向かっている
ほかの皆も南とか西とかそれぞれの方角に進んでる

「けっこうでかいらしいし、すぐみつかるよ」
「・・・・君ってホントに楽天家だね」
「いいことだろ?」
「そう?」

カシスがくすっと笑ったから、俺もつられて笑った
でもやっぱりいつもの元気が無い

「カシス、どうかした?」

カシスが完全無口になったのでさすがに気になって聞いてみた

「・・へ?どうかしたって、なにが?」
「お前、なんか今日変だぞ」

頑張って元気に喋ろうとしているがやっぱりどこか弱々しい
俺がハッキリ言うとカシスはまた黙り込んでしまった

「少し、休んでくか」
「・・・・うん」

座っても、カシスは黙ったままだ

「カシス」
「・・・・・」
「カシス?」
「!・・何?」

上げた顔はとても健康的とは言えないどんよりした顔だ

「おまえ・・・」

喋ろうとしたその瞬間、カシスが俺の口を塞いだ
カシスばっかり気にしてて今まで気づかなかったが
四方から殺気を感じる
多分しばらく前から尾けていたんだろう。こうして袋の鼠にするために

相手は・・4、5匹?人間じゃないな・・・
でも、多分勝てない相手じゃない

上着を脱ぎ捨て、俺はいつでも迎え撃てる態勢を取った
そこで、カシスの手がいやに熱いことに気づいた

「カシス、おまえ・・・・!?」
「ハヤト!!!!」

その時、バッと物凄い勢いで人形の獣が襲ってきた
俺は一匹目の一撃はスウェーでかわして2匹目は何とか剣で受けたが三匹目を浅く受けてし
まった
4,5匹目はカシスに襲いかかった
カシスなら、こんなのは軽く避けるはずなのだが、動きが遅い

「うわっ!!!!」

それも何とかおれがカシスに体当たりして防いだ
二人はごろごろと地面を転がって、すぐにたつ
そして六匹目がゆっくりと出てきた
狼人だ

俺は少し困惑してたがそれどころではない
ボス格のワーウルフに斬りかかった
やはりその前には下っ端連中が立ちふさがる

「うおぉっ!!」

一撃、二撃目で一気に三匹のワーウルフを斬ったが、四匹目は少し速い
四匹目の攻撃は左手で打ち払い、懐に入って急所を突き刺す
5匹目もあっさり倒した
この間、カシスの援護が無かった
おかしいと思ったが、それどころではない
ボスさんが目の前に来ていた
一発目を横に振りかわして後ろから斬りこむが、避けられた
相手の攻撃が頬をかすったが、それにカウンターで蹴りを打ち込んで
とどめに剣を突き刺した


「ふぅ・・・・」

俺は返り血と自分の血の混ざった服を脱いで別の服に替えた
そして上着をきる。その間にもう骨折は治している
カシスを見た 
ボーっと突っ立っている

「カシス、どうしたんだよ」

俺は少し怒りながら言った
しかしカシスは何も言わず、その場に倒れた

「!!!お、おい!どうした!!??」
「ご、ごめん・・・」
「うあっ!!!!お、お前どうして???」

カシスを持ち上げると物凄い熱を持ってる事が解る
俺は上着をカシスに着せてカシスをおぶった
どうして黙ってたのかが俺にはわからなかった
言ってくれればすぐに帰ったのに
なんで無理してついてきたんだろう?
俺はカシスをおぶって走りながらそんな事を考えていた
ようやく最初来たとこに着いて俺はそこに張ったテントの中にカシスを寝かした

「カシス、ほら水」
「ありがと・・」
「・・・・あのさ」
「ごめんね」
「え・・?」
「あたしのせいでこんなことになって」

俺は、カシスがこんなこと言うなんて珍しいな・・と思った
いつも、べつにそんなこと気にしないようなやつなのに

「何言ってんだよ。具合悪いんだったらしょうがないよ。何でもっと早く言わなかった?」
「違う」
「・・・・え?」
「違うの」

俺にはよく解らなかった

「君は・・ホントならこんなとこにいなくて、もっと楽しい生活してたはずなのに・・あた
しのせいで・・・ごめんね」
「な、何言ってんだよいきなり」
「あたしは、弱音なんか言っちゃいけないんだ」
「・・・・???」

カシスはぶつぶつとまるで自分に言い聞かせるように言う
俺はそれがとても悲しい光景に思えた

「カシス、そんなこというなよ・・俺達、仲間だろ?もっと俺をたよれよ。俺じゃ、頼りな
いか?」
「・・・・?」

カシスはいきなり悲しい顔で言った俺を不思議そうにみて、力無く笑った

「優しいね、君は」
「え?そ、そんなこと・・」
「ううん、とっても優しいよ君」

俺はついつい赤くになってしまった
まぁ、日も暮れてきていて回りはみんな赤身を帯びているので、気づいたかどうかわからな
いけど

カシスは俺の首元に手を回して微笑んだ

「それ、愛の告白って取っていいのかな?」
「え!?・・ぇえっと・・・???」

カシスがようやく元の調子に戻った
けど、俺はもう夕焼けだろうが何だろうがハッキリわかるほど真っ赤になってしどろもどろ
していて、それどころじゃなかった

そのころ実はちょうど運悪くあの投げナイフ二人が帰ってきていた
まぁ、他よりはましだったかもしれない、とか





「そういや、そんなこともあったわね」
「結局、風邪はすぐに治ったんだよな」
「風邪じゃないわよ」
「へ?何?」
「・・・・・過労」
「過労!!!!???」
「君、うるさい」
「何でまた?」
「毎日夜遅くまで・・っていうかほとんど寝ずに君を帰す方法を考えてたのよ」
「へぇ・・・・って、いまはしてないのか???」
「ぎくっ!!!!」

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

「・・・・・・(なんて安易な・・・)」
「う、うっさいわね・・・そりゃ・・してないわよ」
「そりゃってなんだよ!!」
「・・・・君は帰りたいの?」
「・・・え?」
「あたしを置いて帰るつもりなの???」
「う・・・・///////そ、そりゃ、みんなと離れたくはないけど」
「にやり(扱いやすい奴だ)」
「なんだその含みは」
「ううん。ところでハヤト、耳まで赤いよ?」
「う、うるさい!」

あのときのカシスは何だったんだろう・・・?
ふと、思い返す

「今と全く違って素直で可愛かっ・・・・」

ごがどごめぐし
                
                                     お☆わ☆り