SUMMON NiGHT 〜導かれる者〜 ここはハヤトのいた世界の日本という国。 ハヤトは、送還術の光で元の世界に帰ってきた。 「帰って・・・これたのか・・・」 ハヤトは夕暮れの公園でぼんやりと立ちつくしていた。 その公園の風景は、ハヤトがリィンバウムに召喚される直前の風景と全く一緒だった。 なにもかもがそのままだった。 「夢でもみたっていうのか?でも、リィンバウムでの出来事は・・・夢じゃない・・・ はっきり覚えている」 夕闇に風が吹き、ハヤトは頬にひんやりとした冷たさを感じた。 「あれ・・・?俺、どうして泣いているんだ・・・?」 ハヤトは複雑な心境だった。 「なんでだろう。元の世界に帰れて嬉しいはずなのに・・・嬉しいはずなのに、つらい 気持ちの方が大きいなんて・・・」 何故嬉しさよりつらい気持ちの方が大きいのだろう。ハヤトには、その理由がすぐにわか った。 リィンバウムで出会った、大切な仲間たちに会えなくなったこともある。 しかし、一番大きな理由は、リィンバウムで出会った一人の少女のことだった。 「カシス・・・」 ハヤトはカシスとの思い出を振り返っていた。 初めて出会ったときのこと、二人で自分が召喚された儀式の跡を調べに言ったときのこと、 自分の無力さを知って落ち込んでいたとき、彼女が優しくなぐさめてくれたこと。 そして、何があっても絶対に守ってみせると彼女に誓った夜のこと・・・。 「俺・・・いつのまにかカシスの事が好きになっていたんだ・・・」 ハヤトは自分の気持ちに気付いた。 大切な人、守りたい人とまではわかっていた。しかし、それ以上にカシスの事を想ってい たが、それがどんな気持ちなのかは、わからないでいた。 「俺、言えなかったんだな・・・カシスに『好きだ』って・・・」 夕日の太陽が、半分以上沈んでいた。 「そろそろ家に帰ろう・・・」 ハヤトは自分の家に帰っていった。 そして、新たなる毎日が始まる。 翌日、ハヤトは学校へ行った。 登校途中、 「おはようございます、ハヤト君」 ハヤトと同じクラスで、生徒会に所属している樋口綾(アヤ)だった。 「ハヤト、おっはよーー!!」 ハヤト、アヤと同じクラスで、女子バレー部部長の橋本夏美(ナツミ)が、元気よく挨拶 をしてきた。 「ああ、二人ともおはよう」 ハヤトは二人に挨拶を返した。 「どうしたんだ、ハヤト。いつもの元気がないじゃないか。」 ハヤト、ナツミ、アヤと同じクラスで剣道部部長の深崎籐矢(トウヤ)が、声をかけてきた。 「そ、そんなことないぜトウヤ?俺はこのとおり元気だぜ?」 ハヤトは無理に元気な姿を見せた。 「そうか・・・僕の思い過ごしだったようだね」 トウヤは、ハヤトが無理に元気そうにしているのに気付かなかった。 「そういえばみなさん、明日からの中間テストに向けての勉強、はかどってますか?」 アヤが三人に話しかけてきた。 「うん、バッチリ!」 ナツミが元気よく答えた。 「ああ、はかどっているよ」 トウヤもあっさり答えた。 「明日からの・・・中間テスト?」 ハヤトは戸惑いを隠せずにいた。 「あはは、何寝ぼけてんのよハヤト。あ、もしかして勉強してないんでしょ〜」 ナツミがハヤトをからかった。 「ちゃ、ちゃんとしてるよ!」 「そうですか・・・ならいいんですけど・・・」 アヤは少し不安そうに言った。 そして数日後・・・ 「おめでとうございます、ハヤト君」 「やるわね、ハヤト・・・」 「まさか僕たち三人を抑えて学年トップとは・・・すごいな・・・」 ハヤトは中間テストの合計点で、学年トップをとった。 「へへ・・・」 ハヤトは嬉しそうだった。 決して頭が悪いわけではなく、学年でもかなりいいほうだ。ただ、ナツミ、トウヤ、アヤ の学力は、ハヤトを上回っていた。 放課後、学校の帰り。ハヤトはまだ嬉しそうだった。 「やったぜカシス!」 ハヤトは振り向いた。しかし、そこには誰もいなかった。 「俺、何言ってんだろう・・・カシスはここにいないのに・・・」 ナツミ、トウヤ、アヤに誉められたのは嬉しかった。 しかし、自分が一番誉めてもらいたい人がそばにいないので、空しさが残った。 「いつか・・・いつかまた、どこかで会えるよな?」 ハヤトはカシスとの別れ際にした約束を思い出していた。 ハヤトは丘の上の公園に来ていた。 「みんな元気にしてるかな・・・?」 ハヤトはリィンバウムで出会った仲間たちのことを思い出していた。 「ガゼル・・・お前、本当にいいやつだったな・・・」 ガゼル。口は少し悪いが、根は優しい。出会って間もない頃は敵視されたが、気が付けば 親友となっていた。 「モナティのやつ、相変わらずなんだろうな・・・。みんなと仲良く暮らしてるかな?」 モナティ。ハヤトがリィンバウムで出会った、幻獣界メイトルパから呼び出されたれビッ ト。はぐれ召喚獣だった自分を救ってくれたハヤトを、『マスター』と慕ってくれた。 かなりおっちょこちょいだが、ほんわかとした雰囲気はみんなの安らぎになっていた。 「リプレ・・・君はいつも家事が大変だったね・・・それでよく肩が凝ってたね・・・」 リプレ。カシス、ガゼルと同じくらいハヤトの事を理解してくれた女の子だった。 ハヤトがリィンバウムで着ていた服は、彼女が作ってくれたものだった。 「みんな・・・俺のこと忘れないでくれよ・・・?俺もみんなのこと、絶対に忘れないか ら!」 ハヤトは絶対に忘れないと誓った。 それから数日後、放課後の学校の教室。ハヤト以外の生徒はすでに帰っていて、 教室にいるのはハヤトだけだった。 「(こうしていろいろなことを考える時間が増えるなんて・・・全然思わなかったな・・・)」 そしてハヤトは自分にとって一番大切な一人の少女に問いかける。 「なあ、カシス。俺、頑張ってるかな?お前に胸を張って言えるぐらい、頑張って生きて るかな?」 ハヤトは、心を澄ませばあの声が聞こえてくるような気がした。 「カシス・・・君に会いたい・・・」 ハヤトのカシスに会いたいという気持ちは、数日で大きくなっていった。 「もう一度、お前に会いたい!!」 ハヤトは、カシスに会いたいと強く願った。その時、 (バシュゥゥゥゥゥン!) 突如光が落ちてきた。光が落ちてきた場所から数メートル以内の机は、衝撃で倒れた。 「な、何だ!?」 やがて光が消える。光の中には、一人の少女がいた。 「はぁ・・・やっと戻ってこれたんだ・・・君のそばに。あたしの居場所に・・・」 「カシス・・・?」 「やっと会えたね、ハヤト」 ハヤトは自分の目を疑った。 「本当にカシスなのか?」 「やーねぇ、あたしのこと忘れちゃったっていうの?冗談きついな〜」 まぎれもなく、カシスだった。 ハヤトはカシスを抱きしめた。 「わ、ちょ、ちょっと、ハヤト・・・」 カシスはハヤトの突然の行動に驚き、はずかしいのか、顔が赤くなった。 「カシス・・・本当にカシスなんだな・・・」 ハヤトは嬉し涙を浮かべた。 「うん、あたし・・・君との約束、守ったよ」 カシスもハヤトを抱きしめた。目を閉じているその笑顔は、とても幸せそうだった。 「ただいま、ハヤト・・・」 「おかえり、カシス・・・」 その後二人は、丘の上の公園に来ていた。 「そうだったの・・・君はここであたしの声が聞こえて、そのあとリィンバウムに召喚さ れたのね・・・」 カシスはハヤトから、ハヤトがリィンバウムに召喚される直前の状況を聞いていた。 「思い出してみると、いろいろあったよな・・・」 「そうね・・・本当に・・・」 二人は思い出を語り合った。 「あっ、そういえば・・・」 ハヤトは何かを思いだしたかのように、ハッとした。 「ハヤト、どうしたの?」 カシスはハヤトを見つめている。 「俺、君に言いたかったことがあるんだ・・・」 「ん?何?」 「カシス・・・。俺、お前のことが好きだ!」 「!」 突然の告白に、カシスは驚いている。 だが、すぐに答えを口に出した。 「あたしも…君のことが好きよ。ずっと…ずっと一緒にいたい…」 「ああ、俺たちはこれからはずっと一緒さ!」 二人は抱きしめあった。 お互いの嬉しさ、暖かさを感じている。 「夢じゃないんだね・・・。あたし、これからずっとあなたのそばにいられるのね・・・」 カシスはハヤトの頬に、そっとキスをした。 「大好きだよ、ハヤト♪」 =================================================== あとがき:この小説を書いた理由は、エンディング後で「もう一言ほしかったなぁ・・・」 と思ったからです。この小説のカシスの最後のセリフです。 しかし・・・色々とツッコミどころがあったりします・・・(汗)。 もっと精進します(笑)。